今から10年ぐらい前のことです。

就職して数年が経った頃、友人と会う約束をしていて、一度家に帰ってから出かけようと急いで帰宅していました。最寄駅からバスに乗り、家の近くのバス停で降りました。かなり急いでいたので、降りたバスの後ろから道を横切ろうとして出たところで、反対車線を走行していた乗用車と衝突してしまいました。近所の方の通報によって救急車で搬送され、頭がい骨の骨折で1か月半程度入院することになりました。いつも寄り道をして帰宅していたのですが、その日はたまたま職場からまっすぐ帰宅していたため、労災として処理されることになりました。頭がい骨の骨折というのはひびが入った程度でしたので、それほど時間がかかることもなく回復しました。ところが、脳が腫れることで顔面神経を圧迫してしまったらしく、事故後1年弱の間顔面神経マヒに悩まされることになりました。また事故後は一か月に一度程度酷い頭痛に襲われました。いずれも非常につらかったのですが、一番ストレスを感じたのは耳の障害でした。エレベーターや飛行機に乗ったときのような気圧の変化があったときに耳がキーンとなる状態になることがありますが、耳が常にあのような状態になって、頻繁に鼻をつまんで唾を飲み込まないと違和感がなくならないようになりました。インターネットでいろいろと調べてみると、症状は耳管開放症に似ています。当時はいろいろな検査をしてもらいましたが、聴力に問題があるわけではなく、自分が感じている違和感を説明してもなかなか伝わりませんでした。結局きちんとした病名も診断されず、もちろん治療することもできませんでした。耳の違和感もストレスになるのですが、一番困るのは自分の声が大きく聞こえてしまうことです。常に耳の中で自分自身の声が大きく響いてしまうので、実際にどのぐらいの声が出ているのかわからず、だんだんと声が小さくなっていきました。この症状は5〜6年続きました。しだいにキーンとした状態になることが少なくなり、今ではほとんど気にならなくなりました。
退院後に事故相手の方の保険会社と交渉を持ちましたが、実際には私の飛び出しですし、相手の方に迷惑をかけたことが申し訳なく、保険会社からの提案をそのまま受けることにしました。事故後にいろいろな後遺症はありましたが、現在はそれらのほとんども治まっていますので、これでよかったと思っています。ただ、自分のようにいつ人が飛び出してくるかもしれないと思うと、怖くて車を運転することはできません。